浴槽・風呂釜への影響

浴槽への影響

日本で多く使われています浴槽の材質は、強化プラスチック(FRP)、人工大理石、ホーロー、ステンレス等ですが、その他にも木、タイル、大理石などがあります。市販されている入浴剤の大部分は、浴槽を傷めたり傷つけたりすることはありませんが、イオウ配合の入浴剤は金属を腐食させる恐れがあり、又FRPの一部や大理石の浴槽では、一度に多量の入浴剤を使用すると浴槽表面の光沢を失ってしまうものもありますので、商品の注意書きをよくお読みの上、使用法をお守りください。なお湯が濁るタイプの入浴剤を使用した際は、残り湯を放置すると、浴槽の底やまわりが白くなることがありますが、このような場合は、風呂用洗剤等で洗い流すときれいになります。 但し、木製の浴槽の場合は濁るタイプの入浴剤はお避けください。

風呂釜への影響

浴槽の湯を沸かす方式には、沸かした湯を蛇口から浴槽へ入れる方法(給湯式)、浴槽と風呂釜をパイプでつないで湯を循環させる方法(循環式)等がありますが、浴槽の湯が直接風呂釜やパイプと接触するのは循環式の場合です。循環式には自然循環方式とポンプによる強制循環方式とがあり、釜の材質には銅、アルミニウム等が一般的に用いられています。浴槽への影響と同様に、大部分の入浴剤には風呂釜等を傷めたり傷つけたりする成分は配合されていませんが、イオウ配合の入浴剤は循環式の風呂釜やパイプを腐食させる恐れがありますので注意を要します。また強制循環方式には循環途中にフィルターがセットされていますが、毛髪や汚れなどにより目づまりを生じることがまれにありますので、充分水洗いをしてください。特に湯が濁るタイプの入浴剤では、風呂釜内部の湯垢等に濁り成分が一部付着して、循環孔から浴槽内へ出てくることがありますので、風呂釜内部や循環孔のフィルターをホース等を使って、よく水洗いすることをお勧めします。

浴槽、風呂釜の取扱い説明書について

浴槽や風呂釜の使用上の注意として『強酸、強アルカリ洗剤及びイオウ分を含む入浴剤や温泉水は、浴槽、風呂釜の材質を劣化させ、寿命を損なうことがありますので使用しないでください。』等の記載がありますが、現在市販されている入浴剤の大半は、使用時に強酸性や強アルカリ性にはなりませんので浴槽や風呂釜の材質を損なうことはありませんが、使用に際しては、入浴剤の商品パッケージに記載の注意事項をよくお読みいただき、それにしたがってください。

浴槽・風呂釜の苦情として、入浴剤が原因とされる誤認事例について紹介します。

石けんカス(金属石けん)の浴槽への付着

状態 浴槽の縁や内側(水面付近、底部など)に汚れが付着して白っぽく見える。
原因 水道水に含まれる珪酸分やカルシウムイオンと、脂肪酸(石けんの成分、人間の体から出る皮脂にも含まれる)が結合してできた、石けんカスと呼ばれる汚れが浴槽の縁などに付着したもの。→(写真1) セメント剤中のカルシウムイオンと脂肪酸が結合してできた、石けんカス(白い固形物)が排水口周辺に固着。→(写真2)
回復 付着後すぐならば、中性の浴室用洗剤で比較的楽に落せるが、乾くと浴槽・タイルなどの材質への付着が強くなる。このような石けんカスの付着が重なると、材質に固着して落とすことが困難となる。このような場合には、中性の浴室用洗剤をキッチンペーパー等にしみこませ、白くなった部分に5分程度貼って汚れをゆるめたのち浴室掃除用のスポンジでこすり落とす。落ちにくい場合は浴室用のクリームクレンザーを使用する*。
*FRPや人工大理石など浴槽が樹脂系の素材の場合は、柔らかく傷つきやすいので強くこすりすぎないよう気をつける。

もらいサビの浴槽への染着

状態 浴槽の底部などに斑点状のサビがシミついて落ちない。
原因 貯水タンクや水道管からの鉄分が浴槽表面に固着し、空気中の酸素により酸化して黄~赤茶色になってしまったもの。錆びた鉄粉などが外部から付着してシミついた場合もある。
浴槽の縁やカウンターの上などにヘアピンを放置するとサビが発生してシミついてしまうケースがあるが、これも同じ現象である。
回復 浴室用洗剤では除去が難しい。浴室用のクリームクレンザーを使用する*。
*FRPや人工大理石など浴槽が樹脂系の素材の場合は、柔らかく傷つきやすいので力を入れず丁寧に擦るよう注意する。
上記の方法で回復できない場合、衣料用の還元系漂白剤を利用して、酸化した鉄分を還元して落としやすくする方法がある。
・使用できる浴槽の材質:タイル、FRP、ホーロー等
・使用できない浴槽の材質:ステンレス等金属材質

銅石けんの浴槽への染色

状態 浴槽の喫水線付近などにブルーの染着。
原因 入浴剤の色素が染着したものと誤解されやすいが、原因は「銅石けん」と呼ばれる、湯沸し水中に含まれる銅イオンに由来するものである。給湯器の熱交換器に銅が使用されている場合、銅イオンが水中に溶出する可能性がある。井戸水など水源のpHが低い場合は銅イオンの溶出量が多くなりやすい。
銅イオンが含まれた水に脂肪酸(浴槽の湯垢汚れ、皮脂汚れ)が関与すると銅石けんが生成される。一般には銅イオンは目立たないが銅石けんに変化すると鮮やかな青色を呈する。
回復 以下の手順で除去を試みる。
1)中性の浴室用洗剤で染着部分をキッチンペーパー等にしみこませ、5分程度貼ってから浴室掃除用のスポンジでこすり落とす。
2)薬局等で入手できるアンモニア水(10%溶液)を不要になった衣料などに浸し、染着部分をよく擦り落とす。
<代替法> 市販の油汚れ専用洗剤(弱アルカリ性~アルカリ性)でキッチンペーパー等にしみこませ、5分程度貼ってから浴室掃除用のスポンジでこすり落とす。