夏の快適な入浴法と入浴剤の活用

夏の疲れ、冷え、ストレス

夏の暑さや通勤電車やオフィスでの過冷房、それに加えて夏場の多湿といった外部環境のストレスにより自律神経の機能が低下し、体温調節障害や血行障害を生じる場合があります。 特に、冷房が効いている室内に長時間いると血行障害を生じ、体(手足や腰)の「冷え」となります。 その結果、食欲不振、不眠、倦怠感などの夏季特有の症状、つまり「夏バテ」が現れてきます。

夏の疲れ、冷え、ストレスと入浴の効果の関係

入浴により、3つの物理作用(温熱、水圧、浮力)が効果的に働き、夏の疲れ、冷え、ストレスの解消につながります。
微温浴(35~38℃)は、副交感神経の働きにより精神的な安らぎと落ち着いた気分になれます。一方、短時間の高温浴(42~44℃)は、交感神経を刺激して、心身共に活動的にします。また入浴時の水圧により、肺容量が減少して呼吸数が上昇し、心臓の働きが活発になり全身の血行が良くなります。更に、水中では身体が軽く感じるため、だるさを感じなくなり、心身ともにリラックスできます。

夏の疲れ、冷え、ストレス解消のための入浴法

夏の疲れ、ストレスを解消したいときの入浴法

ぬるめ(38℃前後)の湯にながめに入ることで、副交感神経の働きにより、リラックスできます。また、みぞおちから下だけお湯につかる半身浴でゆっくり入浴することで、ゆったりとリラックスできます。お風呂上りも過剰に汗が残らずさっぱりします。また、あつめ(42℃前後)の湯に短時間入ることで、血行をよくし、疲労物質を早く取り除く効果が期待できます。
入浴効果を高めて血行を促進する入浴剤を利用したり、翌日に疲れを持ち越さないように好きな香りの入浴剤でリフレッシュするのもおすすめです。

>>その他目的別入浴法の詳細について

疲れを解消したいときにおすすめな入浴剤

入浴効果を高めて血行を促進するものに次のような入浴剤があります。

  • 硫酸塩(硫酸ナトリウム・硫酸マグネシウム)や塩化ナトリウムなどを配合した無機塩類系入浴剤 詳細について
  • 炭酸ガスを発生する錠剤タイプや粒状タイプの炭酸ガス系入浴剤 詳細について
  • センキュウ・トウキ・チンピ等の生薬やそのエキスを配合した薬用植物系入浴剤 詳細について


上記入浴剤を活用することで、温浴効果が高められ、疲れ解消につながります。

ストレス解消、リラックスしたいときにおすすめな入浴剤

リラックスするには、季節にかかわらずリラックスできない要因、すなわちストレスの原因を取り除く必要があります。入浴剤の使用によっては、基本的な入浴の効果である「温浴効果」(身体を温める、痛みを和らげる等)、「清浄効果」(汚れを落とす、皮膚を清浄に保つ等)を高め、更に「色」や「香り」を楽しむ機会を提供してくれます。

一般にリラックスできる色調は「パステル系」と言われており、気持ちを鎮めたい時は寒色系、憂鬱な気分を盛り上げたい時には暖色系が有効だと言われています。また、ジャスミン系やレモン系の香りはリラックスやリフレッシュするのに有効といわれています。

ストレスの原因や、リラックスの状態は千差万別・十人十色です。上記の内容を参考に、「自分が最もリラックスできる入浴剤」を探して頂くのも入浴剤の楽しみ方の一つではないかと考えます。

夏の冷房などによる冷えを解消したいときの入浴法

夏の暑いときに冷房の効いた場所に入るのは気持ちがいいものです。しかし、冷房のききすぎなどで外気温と室温の差が大きくなると、自律神経の体温調節機能にくるいが生じます。これが冷房などによる「冷え」の状態です。これを解消する入浴法は、ぬるめ(37℃前後)のお風呂にながめに入り、冷えた身体を温めることです。
また、暑い時期にお風呂につかる気がしない方は、ぬるめのお湯をみぞおちくらいまで入れ、ゆっくりつかる半身浴などがおすすめです。

冷えを解消したいときにおすすめな入浴剤

冷えの解消には、無機塩類系、炭酸ガス系、薬用植物系入浴剤がおすすめです。各入浴剤の効果について以下に示します。

無機塩類系入浴剤

塩類が皮膚の表面の蛋白質と結合して膜を形成し、この膜が身体の熱の放散を防ぐために、入浴後の保温効果が高く湯冷めしにくくなります。

炭酸ガス系入浴剤

湯に溶けた炭酸ガスが皮膚吸収により容易に皮下内に入り、直接血管の筋肉へ働きかけ血管を拡げ皮膚血流が増加します。その結果、入浴効果が高まり冷え性、肩こり、身体の疲労感、だるさ、腰痛、神経痛などの症状に対し効果があります。

薬用植物系入浴剤

生薬に含まれている成分の働きと、独特な香りの働きからなりたっています。生薬はそれぞれ長い歴史の中から生まれ、その効果は医療薬として、日本ばかりでなく欧米でも高く評価されています。また入浴剤に応用した場合にも血行促進効果や湯冷め防止効果等が認められています。

夏場の入浴に特に求められる効果

夏場の入浴に特に求められる効果としては

  • (1) 「汗等による不快感」
  • (2) 「冷房による体調不良」
  • (3) 「強い日差しによる肌のダメージ」等の解消

があげられます。

(1)には肌に「さっぱり感」、「ひきしまり感」を与える成分として炭酸水素ナトリウムや硫酸アルミニウムカリウム(ミョウバン)等を配合したもの、またメントール等による清涼感を付与したものがおすすめです。色調は寒色系(青、緑系色等)のものが視覚的にも涼味を与えてくれます。

(2)には硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム等の無機塩類系入浴剤、また炭酸塩と有機酸による炭酸ガス系入浴剤、センキュウ・トウキ・チンピ等の生薬やそのエキスを配合した薬用植物系入浴剤等が「温まり」「血行促進」効果を発揮してくれます。

(3)ではスキンケアに主眼を置いた入浴剤としてセラミド、スクワラン、ミネラルオイル等を含む入浴剤があげられます。